「日本史」の日本史(30)
人々は「日本史」に何を求めてきたのだろうか。江戸開府時の武人の教養としての歴史は、平和の世、儒学者が説く政治理論の題材としての歴史にとって代わられる。そして水戸学や国学によって王政復古へとつながっていく。維新後には正史編纂の試行錯誤や西洋の学問からの影響の先に、現在の「日本史」の原型が出来上がる。江戸から明治を経て、「日本史」が今のかたちになるまでを政治史、思想史、社会史から解き明かす、「日本史」をめぐる日本史学史。 序 学問としての「日本史」と、その外側に在るもの 第1部 武士の世の学問 第一章 サムライたちの「日本史」 1 兵営国家 2 武士の学問、兵学 3 「葉隠」の精神 第二章 「歴史」と江戸の儒学者たち 1 御儒者林家の「日本史」 2 徳川光圀の編纂事業 3 新井白石の教え 4 日本儒学としての古学 5 荻生徂徠とその時代 第三章 国学と日本神話 1 国学の登場 2 『古事記伝』まで 3 本居宣長と古えの道 第2部 人々の歴史意識 第四章 社会のなかの「日本史」 1 先例と由緒 2 寛政の改革 3 近世後期の幕府編纂事業 第五章 様々な「歴史」の広がり 1 「歴史」の流布と統制 2 忠臣蔵 3 しん・みろく 4 キリシタンの記憶 5 豊田みつぎと大塩平八郎 第3部 「日本史」が日本史を動かす 第六章 開国前夜の「日本史」 1 平田篤胤とその時代 2 水戸学と尊王攘夷思想 3 漢学者の「日本史」ブーム 4 頼山陽の描き方 5 蘇る「天皇」 第七章 維新と「日本史」 1 「御武威」の崩壊 2 志士たちと「歴史」 3 「王政復古」と「御一新」 4 党争の末路 第4部 近代国家と歴史学 第八章 明治政府と「日本史」 1 文明史の時代 2 明治政府の修史事業 3 抹殺博士重野安繹 4 修史館史学のライバルたち 5 久米邦武の大炎上 第九章 アカデミズムの「日本史」 1 三上参次とアカデミズム史学の時代 2 「純正史学」と「応用史学」 3 文化史学、皇国史観、マルクス主義歴史学 終 「日本史」の役立ち方 参考文献 あとがき 人名・事項索引